2005年12月16日金曜日

釈尊の人柄(1)感じ易い少年

仏教すなわち釈尊の教え紀元前5世紀から4世紀頃に、ゴータマ・ブツダ、すなわち釈尊によつて確立された。彼は古代インドにおける北方の地域、カピラヴァスツの国王であつたシュドーダナの長子として誕生した人であつたから、やがてその父の跡を継いでその国の国王となる立場の人であつた。処が国王である父が、新しく誕生した王子をある人相見に見せた処、その人相見が、「このお子は、もしも俗世間に留まるならば、全インドを支配する帝王になるであろう。しかしもしもこのお子が出家して僧侶になつた場合には、全世界を救済する大思想家になるであろう」と予言した。そこで国王である父親は、出来るならばわが子が全世界における思想的な指導者になるよりは、全インドの支配者になる事を希望し、当時として期待すことの出来る最高の生活環境を釈尊に与えて、釈尊が僧侶に成る事を防ごうとした。しかし釈尊は幼少の頃から、非常に頭が良くしかも非常に感受性の強い子供であつたと思われる。ある日彼は城内の畑で農夫が田畑を耕しているのを見ていた。その時たまたま農夫の鍬が,地中の蚯蚓を二つに切つた。ところがその時、畑の上空をたまたま飛んでいた鳥が地上に降りて来て、切れた蚯蚓を啄むとその侭再び空中に舞戻つた。処がこれを見ていた釈尊は、この世の中の全ての生物が、お互いに殺し合わなければ生存を続けることが出来ないことを知つて、非常に心を痛めたと云われている。