2005年12月4日日曜日

観念論と唯物論の再評価(2)

しかし12〜13世紀頃からヨーロツパの世界に、大きな変化が起き始めた。それがルネツサンスである。それまでカソリツク教会では天体の動きについて、地球が固定されていて、その上を太陽が動いているという説を唱えていた。ところがコペルニクスその他の少数の学者が毎日、太陽の東の空に上がる時期と場所、及び太陽が西の空に沈む時期と記録して計算して見ると、地球が動かずに太陽がその上を動いているという理解では、計算が合わない。しかしカソリツク教会では、これまで自分達の主張して来た説を覆すことは、自分たちの権威を失墜させる事に繋がるので絶対に認めず、甚だしい場合にはそのような説を主張する者を、火あぶりの刑にしてまで教会の説を守ろうとした。しかし事実は事実でしかなかつた。そこで教会の説も長い間には、修正しなければならない事となつた。
この事はヨーロツパ社会にとつては、想像することも出来ない程の大事件であつたであろう。
このような事件が動機となつて、社会の人々の教会に対する態度が一変した。それがヨーロツパ社会におけるルネツサンスと呼ばれる大事件である。人々は観念論に縛られていた中世の考え方から抜け出して、遠く古代のギリシャ・ローマの時代に盛んであつた、太陽の燦々と輝くような明るい文化に憧れて、その文化を勉強するようになつた。それがルネツサンスと呼ばれる歴史上の大きな出来事である。
その結果、ヨーロツパ社会に大きな変化が現れた。人々はそれまでキリスト教会で主張していた教えを絶大視することがなくなり、自由にさまざまの問題を考えるようになつた。その結果、人々は昔から固定的に強制されて来た教えに疑問を持ち、何でも自分の眼や耳などを使つて確かめるようになつた。つまり科学思想の発生であり、唯物論思想の興隆である。その後宗教改革、アメリカの独立、フランス革命,産業革命、第一次世界大戦等が起こるとともに、科学が非常な勢いで進み、生産力が非常に發達した処から、偉大な産業が生まれ近代資本主義が生まれた。この様子を見ていると唯物論という考え方が如何に人類に大きな貢献をしたかが解る。